2013年09月19日

福音牧場の志

 私には夢がある。

 18歳の冬、絶望のどん底から救われた時に、ふつふつと心に湧きあがってきた幻、ビジョンである。孤独と不信、空しさと恐れから解放された時、それは、私の思いと願いの中にやって来て、志となった。

 それまでの私のように、生きる意味と目的を見い出せず、途方に暮れてもがき苦しむ若者たちを迎え入れ、作物や動物を育てながら、生産から加工・販売まで、有機・循環型の立体農業である。自然の中で、一緒に労働に汗を流し、生活の中で希望を紡いでいく「福音牧場」の幻である。

 この実現を願って18歳の時から、チャレンジをくり返し、ずうっと温め続けて来た。

 農業実践大学校の畜産学部に進み、畜産関連の会社で働き、養豚牧場(3,000頭)で経験を積み、その後、アメリカ研修を経て、神学校で訓練を受け、5年間自給自足の開拓をした。

 何度も挫折をくり返し、燃え尽きそうになった時、静寂な朝、「命がけで、捨て身でやりなさい」‥この語りかけに覚悟を決め、一心発起して、ポニー、羊、ヤギ、うさぎ、犬、ネコを飼いながら、まきばフリースクールを立ち上げた。今から14年前である。

コウタ1.JPG ポニーの<こうた>

コロ5.JPG <コロ>

 その後、里親登録をして、家庭崩壊した思春期の3人の少年を18歳まで養育した。不登校、ひきこもり、非行、依存症、さまざまな心の必要を抱えた方々を、来る者拒まずで受け入れ、4人の実子と家内と一緒に、一つ屋根の下で共同生活をしてきた。

 4年が過ぎた頃、家内が心労のため倒れ、その後、軌道修正をくり返し、老人介護、ファミリーホーム、復興支援、自立援助ホーム、自立準備ホーム、子どもシェルターへと働きが拡大して、現在、スタッフが35名、利用者35名、70名の大所帯となった。

2012,9,14道子誕生日.jpg <家内の道子とルナ>

 自立支援は、就労訓練と繋がっている。安心出来る居場所と、信頼出来る関係性が出来たら、小さな成功体験を積み重ね、少しづつ自信を回復して、震えながらでも自分の足で立ち始める。

 スペシャル・ニーズを持っている人は、特別な才能を合わせ持っている。その宝の素材を磨いて、最高の笑顔と、瞳の輝きを見い出すのが、福音牧場の使命であり、最高の喜びである。

 そんな志を持ってスタートしてから無我夢中で走り続け、32年の歳月を経た。
ここに来て、不思議な導きとチャンスがめぐって来た。

 東京ディズニーランド(51万㎡)の広さ2個分を上回る(110万㎡)の土地(山林、原野)を取得して、自給自足の自然村のような共同体(エコ・ビレッチ)を作りたいと願い、10年前から準備していた人が東京にいた。その人が、その土地を、そう言う目的で使う人に貸してもいいという情報を、はからずも、32年振りに会った知人から聞いたのである。先月の事である。

 その所有者が準備した土地は、なんと、私が住んでいる宮城県大崎市にあるという。車で20分の仙台から30キロ圏内の所に位置していることがわかった。

 このタイミングで、この時に。‥絶妙のプロデュースに、胸に込み上げるものを感じ、私の心は躍っている。

 2013年、秋。この風(チャンス)つかんで、鷲(わし)のように翼をかって、高く、高く上ることが出来るだろうか?

 <安心出来る心の居場所>。‥これまで、<思いと願い>が、道を拓いて来た。

 福音牧場で一緒に汗を流し、喜び、楽しみ、輝いている子どもたち笑顔が、今も、<私の心の中>に映っている。

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かぶと虫大相撲大会(リオ・グランデ).jpg <かぶと虫相撲大会>










posted by ズンパ at 20:24| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2013年05月17日

特別な宝物

 NPO法人KHJ宮城県タオと、NPO法人まきばフリースクールは別法人ですが、2010年9月より、まきばの武田が代表を兼務しています。

 KHJ(ひきこもり家族会)タオを多面的に支援するために、まきばフリースクールはこれまで、さまざまな活動を展開して来ました。

 フリースクール、老人介護、ファミリーホーム、復興支援、自立援助ホーム、…

 そして、平成25年5月13日付けで、法務省・仙台保護観察所長より、自立準備ホーム(保護観察対象者等で帰住先がない方に、住居と食事を無償提供し、自立支援を行う)の受託事業者としての登録を受けました。

 フリースクール開設以来これまで、保護観察、試験観察中の青少年(8名)を受け入れ、自立支援に取り組んできた活動が評価されました。


『 食べるものや、着るものがないから貧しいという人は、世界中にたくさんいます。
けれども、もっと数も多く、もっとみじめなのは、

「 自分は誰からも愛されていない、必要とされていない、いなくてもいいと思う貧しさです。」

 この飢えは、愛によってしか満たされないのです。 』
                                     <マザーテレサ>


 人は人で傷付き、また、人で癒され、誰かに必要とされ、愛される関係性の中で、根を張り、養分を吸収し、成長していくのだと思います。

モンキーボッド.jpg <ハワイ・モンキーボッド>

 人生の中での失敗や挫折、心の痛手や深い失望感、思うようにいかない現実は、その人自身のためにあるというよりも、それを分かち合い、共有できる誰かを生かし、輝かすためにあるのだと思うのです。

 自分では解決できない問題(宝物)を授かっているので、特別に愛される必要があります。
問題は、分かち合うとき宝に変わり、愛を引き出し、増殖するのです。

 まきばは、宝(問題)の山です。分かち合う時、痛みが伴います。
誰かに必要とされ、愛されることは、痛みを補って余りある喜びが、泉のように溢れるのです。



posted by ズンパ at 12:19| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2012年11月06日

ひきこもり地域支援センター

 「高校2年生で不登校になり、大学生ではギャンブル依存、今は無気力、引きこもり、強迫神経症となって、アパートでおびえている29歳の息子を助けて下さい!」と母親からのSOSがありました。
 父親は息子を見放し、母親は内緒で過保護、過干渉をくり返してきました。
ある冬の日の早朝、青年は何もかも行き詰って投げやりになり、みんなに迷惑をかけている罪悪感にさいなまれ、命を絶とうと冬の海に入って行きました。

nami.jpg

 砂浜には、免許証と上着が脱ぎ捨てられており、沖に頭だけ浮かんでいる彼を発見し、「死んじゃダメだぁ~、一緒に生きよう!」と引き寄せる私の手を振り切り、「死なせてくれ!オレみたいな親に迷惑かけないと生きていけない人間は、生きてちゃいけないんだぁ~!」と必死に抵抗する彼。
 大波に飲み込まれそうになる中、全身の力を振り絞ってようやく、砂浜に彼を引き寄せました。
 彼の心の痛みが、かつての自分の痛みと重なり、‥私の回復のために真剣、必死、本気で関わってくれた恩師の温かいまなざしがよみがえり、‥引きこもる青年たちの心の回復のために、多角的・総合的な中間施設を作ろうと、心に刻みました。

 あれから8年。‥フリースクール、居場所、寮、就労支援に加えて、相互回復の場としての老人介護(デイサービス・宅老所)、ファミリーホーム、自立援助ホームが立ち上がり、そして、「ひきこもり地域支援センター」設置に向けて今年9/20日に、県庁障害福祉課・橋浦課長に要望書を提出しました。

要望2.JPG
 <力添えをいただいた石橋、庄子県議会議員(公明党)と、全国引きこもり親の会連合会KHJ宮城県「タオ」の皆さん、NPO法人まきばフリースクールのスタッフと一緒に>

 宮城県より事業の運営委託が認められれば、引きこもり青年への積極的・本格的なアウトリーチ(訪問支援)がスタートします。‥乞うご期待下さい。


posted by ズンパ at 13:56| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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